接客では、最初にお客さまが希望する伝達方法を尋ねます。覚えた単語を一方的に使わず、短い手話、筆談、文字入力、身振り、指差し、遠隔手話通訳を組み合わせましょう。金額、注文、契約条件、緊急情報は、復唱や画面表示で互いに確かめます。

接客の手話を無料動画で学ぶ

実演をすぐに見たい方は、青森県聴覚障がい者情報センターの「すぐに使える接客手話」共通編から始められます。挨拶に加えて、聞こえにくさの確認、筆談への切り替え、待ってもらう場面などを扱う教材です。

シリーズの再生リストでは、医療、宿泊、飲食店、銀行・郵便局、交通、緊急時の場面も選べます。まず自分の担当業務を一つ選び、出迎えから案内を終えるまでの流れを見てみましょう。

飲食店なら、「何名様か」「注文は決まったか」「温かい物と冷たい物のどちらか」のように、尋ねる側の表現と、お客さまの返答を確かめる方法を一組で練習します。日本語の接客用語を覚えた順に手話へ置き換えるのではなく、動画の場面と実演を確かめてください。

接客で最初に確認すること

店で使う案内カードの例

場面紙や画面で見せる日本語例スタッフが確認すること
来店筆談・画面・手話のうち、ご希望はありますか本人が選んだ方法で続ける
商品確認こちらの商品を二点でよろしいですか商品・個数・サイズを一つずつ照合
会計合計は○円です。お支払い方法をお選びください金額表示と選択肢を見せる
待ち時間約○分です。準備ができたらこの場所でお知らせします呼び出し方法を実行できるか

この表は接客の日本語例で、各文を手話へ翻訳した台本ではありません。まず店のサービスに合わせて金額や呼び出し方法を置き換え、実行できる案内だけを使います。声で番号を呼ぶだけなら、カードに「画面で知らせます」と書いてはいけません。

挨拶の練習はありがとうから始められます。注文や返品などの説明では、覚えた単語だけで理解したことにせず、商品・条件を見ながら確かめましょう。

希望するコミュニケーション方法を聞く

ろう・難聴者の聞こえ方、使用言語、文字の読みやすさは人によって異なります。店員側が手話を使いたくても、本人が筆談や文字チャットを希望する場合があります。複数の選択肢を見せ、本人に選んでもらいます。

手話・筆談・身振り・遠隔通訳を組み合わせる

手段使いやすい場面切り替える目安
短い手話挨拶、待機、場所等内容を正確に表せないとき
筆談・文字商品名、金額、日時、注文長文・専門語で理解が難しいとき
指差し・図売場、選択肢、数量の補助契約・安全情報を扱うとき
遠隔手話通訳複雑な相談や説明通信不良・プライバシー時の代替も用意
専門通訳契約、金融、医療等の重要説明家族・同行者だけに負担させない

来店から退店までの基本表現

具体的な手の動きは文章から推測せず、ろう者が実演し、出典の示された動画で学びます。ここでは会話の目的と、確かめたい事項を整理します。

いらっしゃいませ・要件確認

まず視界に入り、穏やかに合図してから挨拶します。背後から急に触れたり、大声だけで注意を引いたりしません。「何をお探しですか」「どの方法でお話ししますか」を選択肢とともに示します。

売場・場所の案内

方向を示すだけでなく、階、目印、距離、エレベーター等を文字や案内図にも示します。歩きながら手話を続けると見えにくいため、安全な場所で立ち止まって説明します。

在庫・商品・注文確認

商品名、色、サイズ、数量、在庫、取り寄せ、受取日を画面や商品票と照合します。飲食では品名、数量、アレルギー、変更、提供順を分けます。アレルギー等の安全情報を推測や身振りだけで済ませません。

金額・支払・袋・レシート

合計額、値引き、税、支払方法、返金条件を表示し、数字を相互確認します。カード・分割・会員登録等の条件は、分かったふりを促さず、書面や通訳へ切り替えます。

お礼・見送り

取引完了、商品・釣銭・カードの返却を確認してからお礼を伝えます。閉店時間、受取予定、問い合わせ方法など次の行動があれば文字でも渡します。

困ったときの伝え方

分からない・もう一度

理解できないときに曖昧にうなずかず、「分からない」「もう一度」「別の方法で」と伝えます。相手の表現が間違いだと決めつけず、店員側の理解不足として尋ね直します。

少々お待ちください

待つ理由と目安時間を示し、音声呼出し以外の戻り方を決めます。長引く場合は途中で状況を知らせます。

対応者・遠隔通訳へつなぐ

引継ぎでは、お客さまに同じ説明を何度もさせないよう、本人の同意を得て要点と希望手段を次の担当へ共有します。個人情報を周囲に見えるメモへ残しません。

業種別の接客

小売・レジ

在庫、金額、ポイント、返品条件を視覚化します。列の順番やレジ変更も画面・合図で知らせます。

飲食

注文、品切れ、アレルギー、呼出し、会計を文字と写真・番号で補助します。店内放送だけの案内を避けます。

ホテル・観光

予約、本人確認、部屋、朝食、避難経路を説明します。旅行者が日本手話を使うとは限らず、現地手話・国際手話・文字等を確認します。旅行で使う手話も参照してください。

受付・金融

一般受付は受付で使う手話、銀行の本人確認・契約・詐欺防止は銀行窓口へ分けます。接客の短い手話だけで重要手続きを進めません。

店舗の研修に使う教材と、少し難しい場面

接客用の公式教材から、担当業務を選ぶ

神奈川県の手話学習用冊子・動画には、業種に応じた学習の入口があります。基礎の挨拶を確認したら、自分の店で使う案内を選び、単語だけでなく相手の返答を受ける練習につなげます。

研修では「全員で同じ十語を覚えた」で終えず、レジ、売場、電話・チャットの問い合わせなど、担当ごとに一つの場面を選ぶと業務へ結び付けやすくなります。教材の表現を顧客への唯一の正解とせず、利用者からの意見も反映します。

返品・品切れ・取り寄せを説明するとき

場面省略しない情報次に確かめること
品切れない商品と、代わりに選べるもの別商品・取り寄せ・購入しない、の希望
取り寄せ商品、費用、予定日、連絡方法納期が変わった場合の知らせ方
返品・交換店の条件、対象商品、必要なもの担当者への引継ぎと、処理結果
予約変更元の日時と新しい日時変更が確定したか、費用が変わるか

「ありません」「できません」の一言で終えず、選択肢と次の手続きを示します。店の規約や実際に提供できる対応を確認して書くための表で、ここに記した条件をどの店でも同じように提供するものではありません。

研修の最後に、案内が実行できるか試す

スタッフ役とお客さま役に分かれ、音声の呼出しに頼らず注文から受取まで進めてみます。待つ場所が分からない、画面が見えない、交代した担当者が事情を知らない、といった問題を記録します。手話の形に加えて、お客さまが次に何をすればよいか分かる案内になっているかを見直しましょう。

緊急時・店内放送の情報保障

火災、地震、避難、運休等を音声放送だけにしない体制が必要です。文字表示、警告灯、スタッフの巡回、避難カード、個別通知を組み合わせます。店員は手話表現を探すより、まず安全確保と視覚的な避難指示を優先し、地域・施設の防災計画に従います。

練習方法

来店→要件→案内→会計→見送りを二人でロールプレイします。単語の正しさだけでなく、視界に入る位置、照明、背景、待ち時間の通知、切替判断を評価します。最後にろう者の利用者・協力者から改善点を聞き、研修を一回で終わらせません。

接客は伝達方法の確認から始める

最初に、手話、筆談、文字、通訳のどれを希望するかを本人に尋ねます。注文、数字、契約条件は画面でも照合し、内容が複雑になったら対応者や遠隔通訳へつないでください。緊急時は手話表現を探すより、文字、光、巡回、個別通知で安全情報を届けることを優先します。

参考情報

日常の学習に手話しゅわ

必要な場面に備えて、基本表現を練習する。

医療・防災・金融などの重要な場面では公式案内や専門的な支援を優先し、アプリは日常語彙の事前学習にお使いください。

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