手話辞書には、二つの役割があります。一つは、分からない単語を引くこと。もう一つは、動き、用例、関連語、表現の違いを確かめることです。ただし、日本語からすぐ検索できるアプリ、最新語を動画で確認できるウェブサイト、用例を詳しく読める紙の辞典では、得意なことが違います。

この記事では、手話ステーション Lite、サインディクト、『新 日本語-手話辞典』などを用途別に比べます。根拠にしたのは、2026年9月9日に公式サイトと日本向け公式ストアで確認できた情報です。価格や公開状況は変わることがあるため、利用時にもリンク先を確認してください。

辞書は複数を使い分ける

辞書・資料検索の入口表現の確認方法2026年9月9日の提供状況向いている用途
手話ステーション Lite(App Store)・Google Play50音、カテゴリ、文字列検索指文字と約400語はアニメ、残り約4,000語は静止画。動作説明や由来も掲載iPhone・Androidでインストール無料。Lite版で個々の語を開ける範囲は実機確認が必要日本語からすばやく引き、お気に入りへまとめたい
サインディクト英語、ひらがな、漢字、カタカナ日本手話とアメリカ手話(ASL)の辞書・対訳表示。レッスン、練習、クイズも用意iPhone・iPad・Mac・Apple Vision向け。App Store表示は¥1,500。現在の無料体験の適用は未確認日本手話とASLを分けて検索・比較したい。オフラインで引きたい
新しい手話の動画サイトあいうえお順、掲載日順、サイト内検索新しい用語や特集語を動画と解説で確認ウェブで公開。厚生労働省委託の手話研究・普及等事業として手話言語研究所が運営新しい社会用語や専門語を動画で確認したい
新 日本語-手話辞典紙面の索引、見出し語イラストと10,000以上の会話例2011年6月10日発行、1,808ページ。中央法規出版の公式表示は税込24,200円、在庫あり用例を読み比べ、まとまった資料として調べたい

一つだけ選ぶなら、最も多く使う入口で決めます。外出先で日本語から引くならアプリ、新しい語の動きを見るなら動画サイト、用例を詳しく読むなら紙の辞典が候補です。重要な表現は、一つの辞書だけで決めません。別形式の資料でも確かめます。

手話辞書を選ぶ八つの基準

1. 何から検索できるか

日本語の見出し語、カテゴリ、掲載日、手の形など、入口は辞書によって異なります。手話ステーション Liteは文字列とカテゴリ、サインディクトは日本語表記と英語、新しい手話の動画サイトは掲載日順とあいうえお順から探せます。初学者は日本語から探しやすい一方、日本語訳が分からない表現を見たときには別の入口が必要です。

2. 動画で全体を見られるか

「動きを確認できる」と書かれていても、媒体はさまざまです。実写動画、アニメ、連続写真、静止画では得られる情報が違います。顔、手、上半身が収まり、通常速度で表現全体を確認できるかを見ます。手話ステーション Liteはアニメと静止画、新しい手話の動画サイトは動画、『新 日本語-手話辞典』はイラストです。スローや静止画だけで終えず、必要に応じて表情・視線・身体を含む動画でも確かめましょう。

3. 対象とする手話が示されているか

日本手話、日本語対応手話、指文字、国外の手話など、収録方針を確認します。手話ステーション Liteは公式説明で「日本語対応手話」、サインディクトは日本手話とASLを扱うと明記しています。「日本語で検索できる」ことと「日本手話を収録している」ことは同じではありません。

4. 用例と使う場面があるか

日本語訳が同じでも、場面や文脈によって選ぶ表現が変わることがあります。単語の映像だけでなく、短い用例、関連語、注意事項へ進めるかを見ます。

5. 複数表現をどう扱うか

別の表現を一つの誤答として消すのではなく、地域、世代、話者、文脈などの情報があるかを確認します。説明がなければ、辞書だけで優劣を決めません。

6. 出典・作成者・確認体制が分かるか

運営者、実演者、編集方針、参考資料、更新履歴へたどれる辞書は、疑問が出たときに検証しやすくなります。たとえば手話ステーション Liteは監修者と団体をストアで明記し、『新 日本語-手話辞典』は編集・監修・発行者を出版社ページで確認できます。「専門家監修」という言葉だけで判断せず、誰がどの範囲を確認したかまで見ます。

7. 更新日と版が分かるか

新しい用語や社会状況に伴う表現は更新されます。新しい手話の動画サイトには掲載日順の入口と年度別の検討情報があります。一方、『新 日本語-手話辞典』の発行日は2011年です。紙の辞典は用例を深く調べる資料として使い、新しい固有名詞や社会用語は現行のウェブ資料で補いましょう。

8. 利用条件が目的に合うか

個人学習、授業、記事への引用、動画の保存などは利用条件が異なります。著作権表示、利用規約、ライセンスを確認し、映像や図を無断で再利用しないでください。

目的別の選び方

基本単語を順に覚えたい

辞書は必要な語を引く道具なので、学習順や復習がない場合もあります。手話ステーション Liteは三段階のカテゴリ、お気に入り、アニメの速度変更を備えていますが、公式説明ではクイズを確認できません。レッスンと復習まで必要なら、辞書だけで完結させず、学習アプリの選び方と基本単語の入口を組み合わせます。

今すぐ一語だけ調べたい

日本語から引くなら、iPhone・Androidでは手話ステーション Lite、Apple製品で日本手話とASLを見分けたい場合はサインディクトが候補です。新しい社会用語や専門語なら、新しい手話の動画サイトも検索します。見つからないときは、表記をひらがなにする、類義語へ置き換える、カテゴリから探す、の順に入口を変えてください。手話単語の調べ方でも検索手順を確認できます。

見かけた表現の意味を知りたい

日本語訳が分からない表現は、日本語検索だけの辞書では引きにくくなります。今回比較したアプリ・サイトについて、動きをそのまま入力して検索できるとは公式説明で確認できませんでした。まず、手の形と位置、動く方向をメモします。表情と前後の文脈も残したうえで、逆引きに対応した別資料や、地域の教室、ろう者、手話言語に詳しい人へ尋ねてください。短い切り抜きだけでは、意味を判断する材料が足りません。

本で体系的に学びたい

『新 日本語-手話辞典』は、出版社の公式情報で10,000以上の会話例を収録しています。用例をまとめて調べたい人には有力ですが、2011年発行の紙の辞典で、価格も税込24,200円です。まず公式の試し読みや図書館で、索引、凡例、イラストの読み方が自分に合うか確かめましょう。紙面だけで動きを推測せず、新しい手話の動画サイトなどの動画資料も併用します。

辞書で語を調べる手順

「お疲れさま」が見つからない場合の引き方

まず「おつかれさま」、次に「疲れる」など、見出しになりそうな語でも探します。ただし、見つかった語がそのまま仕事終わりの挨拶に使えるとは限りません。日本語訳が似ていることと、会話の中で同じ役割を持つことを分けて確かめます。

辞書を比較する記録は「検索語/見出し語/使う場面/出典URL/疑問」の五つで十分です。たとえば「おつかれさま/お疲れさま/共同作業後/本サイトの無料動画/仕事を始める時も同じか」と残せば、教室で具体的に質問できます。見つからない結果も残し、同じ辞書を同じ語で何度も引くことを減らしましょう。

  1. 調べたい日本語と、「誰に・どの場面で伝えたいか」を一緒に書く
  2. 手話ステーション Liteやサインディクトで、表記揺れ、類義語、カテゴリを変えて検索する
  3. 動画またはアニメを通常速度で見て、手だけでなく表情、視線、身体を観察する
  4. 用例が必要なら『新 日本語-手話辞典』、新しい語なら新しい手話の動画サイトでも確認する
  5. 対象言語、出典、掲載日または版を記録し、資料間の違いを比べる
  6. 実際に使う前に、相手や地域で使われる表現も確かめる

辞書の日本語見出し語を、そのまま会話文へ一語ずつ並べないことも重要です。単語検索と文の翻訳は別の作業です。

オンライン辞書と紙の辞典を行き来する

動画検索と書籍の索引は役割が違う

新しい手話の動画サイトは語を検索する入口です。一方、全日本ろうあ連盟の「わたしたちの手話シリーズ新索引」では、見出し語、読み、掲載書、ページを調べられます。索引で見つけた語は、手元の本の書名と版を照らしてから該当ページへ進みます。

同じ語が複数の書籍に載っていても、ページ番号が違うことがあります。索引の検索結果だけを手話の実演だと考えず、掲載先の説明まで確認してください。

手元にある情報探し方
日本語の単語だけ読みや短い見出し語で検索し、意味を確認する
使いたい場面がある何を誰に伝えるかを整理し、関連語や用例も見る
シリーズの本を持っているWeb索引で書名・版・掲載ページを調べる
手の動きだけ覚えている見た場面や動きをメモし、講師などに確認する
数字や日付を調べたい単独の数字と、時間・金額などの用法を分けて探す

CGを使うときも、表情や用法を別に確かめる

NHKの手話CG研究紹介サイトには手話モーションの資料があります。実写かCGかだけで学習価値を決めず、知りたい形・動き・視点を確認できるかで使い分けます。ただし、単語のモーションだけから、文法や会話の場面まで分かったとは考えないでください。

旧URLには終了・移転の案内が出る場合があります。検索結果に出たページが使えなければ、提供元の案内を読み、現在の入口を確かめましょう。

複数の表現が出たとき

同じ日本語に二つ以上の動画が表示されても、どちらかが必ず誤りとは限りません。次の項目を記録して比較します。

  • 辞書が対象とする手話・表現体系
  • 地域や年代の注記
  • 単語単独か、文中の用例か
  • 実演者と編集・確認方針
  • 掲載日または版

情報が足りない場合は、地域の教室やろう者、手話言語に詳しい人へ、前後の文脈と出典を添えて質問します。

辞書と翻訳アプリの違い

辞書、翻訳アプリ、生成手話は、似た画面でも役割が異なります。

種類主な入力と出力注意点
手話辞書見出し語から候補となる表現や用例を表示単語を並べても、そのまま自然な手話文になるとは限らない
翻訳アプリある言語の文や発話から、別の言語で意味を伝えることを目指す文脈、文法、表情などをどこまで扱うか、対応言語と精度の確認が必要
生成手話・アバター入力文などをもとに、手話らしい動きを合成・生成生成結果が辞書や専門家によって確認済みとは限らず、学習教材の正解として扱えない
指文字変換日本語の文字列を指文字の並びに置き換える固有名詞の確認には便利だが、文の手話翻訳ではない

サインディクトの公式説明には「辞書・対訳」「翻訳」という表現がありますが、それだけで任意の日本語文を自然な手話文へ変換できるとは判断できません。使いたい機能が単語検索か、文章の翻訳かをアプリ画面で確認してください。医療、法律、災害など重要な場面では、未検証の自動変換や生成結果だけに頼らず、適切な情報保障や通訳を利用します。手話翻訳アプリの注意点も参照してください。

辞書は目的で使い分ける

  • すばやい日本語検索、最新語の動画、詳しい用例では、適した辞書が異なります。
  • 手話ステーション Lite、サインディクト、新しい手話の動画サイト、『新 日本語-手話辞典』を目的で使い分けます。
  • 検索入口、動画、対象言語、用例、表現差、出典、更新日、利用条件で比べます。
  • 日本語見出しが同じでも、複数の表現や文脈があります。
  • 辞書、翻訳アプリ、生成手話、指文字変換は別の道具です。
  • 本文の価格・公開状況は2026年9月9日の確認結果です。利用時にも公式情報を確認してください。

参考情報

比較候補のひとつとして

同じ条件で「手話しゅわ」も試す。

本サイトは手話しゅわの運営者が作成しています。ほかの候補と同じ基準で、動画、検索、クイズ、無料範囲を確かめてください。

App Storeからダウンロード Google Play で手に入れよう